この２枚で、はじめて完璧ーNEVERMINDとIN UTEROー

 

ニルヴァーナ魂の名作にしてスタジオラスト作のIN UTEROが２０周年記念盤としてよみがえる。もちろん俺はスーパーデラックス盤を予約。２年前のNEVERMINDもスーパーデラックスで購入。

今回の目玉はDVDで付くLIVE&LOUD。ブートDVDの世界では超名作として名高い作品が公式発表されるのだ。 待ち遠しいのだが、先日憧れのロックミュージシャンの顔、というテーマで娘ほどの若い子たちと話す機会があって＜俺はニルヴァーナのカートコバーンだな＞と言ったら、この２０年近く前に亡くなってしまった永遠のロックアイコンのことを知っている若者が結構いた。 

 

ほら、こんなにカッコいい。ロックミュージシャンとしてこれだけの美しいルックスのオトコ、見たことがない。で、あの声、マイブラのケビンシールズをして＜みんなカートになりたがる。でも誰もカートになれない＞と言わしめたあの声。そしてあのソングライティング能力。魅力的なフックをあえて封印したIN UTEROでもうあんな曲は書かないのかな？と思っていたら旅立ったあとにあり得ないくらい悲しくて美しいサビを持つ＜YOU KNOW YOU'RE RIGHT＞が発表された。書こうと思えばいくらでも書けたのだ、カートは。

俺は何度もここで書いているが、カートにはかっこ良くてめんどくさい爺になってもらってかつて彼が自分で言っていたようにジョニーキャッシュみたいにアコギを抱えて渋いブルース、アメリカンカントリーをハスキーヴォイスで歌って欲しかった。 生きていれば４６歳。

若者の特権音楽のように思われていたロックはもはやそうではなく、俺たちオヤジが普通に聴いている音楽になった。俺が若い頃は俺の父親とかと音楽の趣味が一致するなんてあり得なかったが、今は俺の次女なんかは俺から新しいロックを仕入れるくらいだ。で、俺もニルヴァーナをはじめビートルズやストーンズなんかをちょっと教えたりしている。カートが歪んだギターでごりごりのグランジロックを叫んでいた年齢から年を取っていったとして、きっと彼はいい感じに落ち着いてきて、でも絶対に自分を売らずにアコギなのに絶対的にロックな音楽を歌っていたはずなのだ。MTVのアンプラグドでもその片鱗が見えていたし。

ニルヴァーナの魅力はこのNEVERMINDとIN UTEROの表、裏の対極的な魅力なのだ。キャッチーなサビ満載、適度に聴きやすい音圧のNEVERMINDと、そこで音程下がるかー？！とびっくりなサビが目白押し、ひりひりのドラムが痛いスティーヴアルビニ録音のロックピューリタン炸裂のIN UTERO。この２枚を続けて聴くことでニルヴァーナを理解できる。

カッコいいオヤジになって、アコギ1本でもロック全開の音楽をやっていたいな。カートが生きていたら絶対そうなっていたような。