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雲雀の舌 [ROCK]

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つい先日まで日本でのライブを行なっていたキングクリムゾン。50年以上に及ぶその活動はまさに<ロックの生き神様>。一枚だけアルバムを選べと言われたら悩み抜いた末にこれになる。

太陽と戦慄。原題はLark's tongues in Aspic。人を簡単に寄せ付けない文学的なアルバムタイトルと奇跡的に美しい邦題が、10代のウブなロック男子の心に響く。今から47年前、11歳でロックに出会った俺、キングクリムゾンの名前はもちろん知っていたし21世紀のスキッソイドマンはほぼハードロックのような感覚で聴いていたが、座ってギターを弾くロバートフリップのかっこよさに気づくのにはまだまだ若すぎた。実はグレッグレイクにしてもジョンウェットンにしてもクリムゾンには少女漫画風美形男子が多かったんだけどね。

この頃の俺にクイーンに勝るものなし。

クリムゾンに本格的にハマったのは高校3年の時。今でも仲の良い数少ない親友たちが揃っていたこのクラスでロック好きな同好の志が集まったわけだ。このときのヘビロテがこの<太陽と戦慄>をはじめとする後期クリムゾンだったのだ。クリムゾンはあの<レッド>で1974年に一旦解散していたが、1981年に復活、以前のクリムゾンとは全く似ても似つかぬダンサブルでニューウエイヴなクリムゾンとして賛否両論大騒ぎであったのだが、この同好の志の中では新生クリムゾンの良さもなんとなく理解しつつもよりヘヴィで暗黒な後期クリムゾンがナンバーワンであった。

この時期のクリムゾンはその辺のメタルバンドなんて足下にも及ばないくらいヘヴィだ。ロバートのギターの歪み具合は初期からあまり変わっていないかもだがリフのかっこよさは段違いだし(太陽と戦慄パート2のイントロのギターリフを超えるリフは50年近く経っても出て来ないだろ)、ジョンウエットンのベースも歪んでいて重い。ビルブラッフォードのドラムは対極的に軽快なところもあるが基本的な曲調が重いのでそこに引っ張られている。メロトロンの音色もバイオリンのそれも悲しく切ない響きに聴こえる。

この重さ、歪みに、18歳の田舎男子たちはハマった。で、その後40数年にわたってハマり続けている。

こういうのが一番カッコ良いのだね。