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健康 [Syrup 16g]

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2003年に発表された当時1500円という低価格でも話題になった<Hell-See>。あえてスカスカの安っぽいサウンドも面白かったが2010年にリマスターされた。俺はリマスターの音が好き。<coup d'État>で露わになった五十嵐隆の毒が、オリジナル盤ではこのサウンドによってちょっと薄まっていた(それを狙っていたのだとは思うが)のが、リマスターによってより毒々しくなって、らしくなった。

ネットを見ると<入門編>とか<異色作>といった相反する評がのる。まあ、彼らの数ある名作の中でもトップクラスの名作であることには変わりないのだが、俺はやはりリマスター盤を是非聴いて、このバンドの素晴らしさを体感してもらいたい。(もうオリジナル盤は廃盤なのかな?)

基本的に演奏がすごくシンプル。<mouth to mouse>のアルバム後半の<プログレバンドか!>と思うくらいの展開とは正反対。だから言葉の毒がグサグサと心の深いところに刺さって来る。 五十嵐が好きなイギリスのポリスをモチーフにした、という話もあったけれど、ラブソング的に売れていた<見つめていたい>が実はストーカーの歌だったことを考えると当たっているのか。

不眠症とか、拒食症とか、病気ネタが多いのもこのアルバムの特徴かも。当時アルバム2曲めの<不眠症>が、不眠症患者のリアリティをもっとも表した楽曲として一部で話題になったのを覚えている。

いやー、いま爆音で聴いてるんだけど、改めて思うよ、すごいアルバムだって。