定番 [物欲]
18歳、すぐに19歳になった大学生の俺。自身過剰な田舎者はあっという間に都会?の現実に押しつぶされ、同級生でありながら年上という謎の存在(大学だから)の友人たちによって自身の子供っぽさ、カッコ悪さを思い知ることになる。
なんか、記憶がごちゃごちゃな気もするのだが、俺がコムデギャルソンによってアイデンティティを取り戻すまでの間、俺は都会の今となってはありえないファッションセンスに毒されそうになっていたのだ。
そんな奴ら(笑)は冬になるとこれを着ていた。AVIREX B-3。ムートン。画像はブラックだが当時はブラウンをこぞって着ていた。インナーは真っ白ショートスリーブT。ボトムは腿が太くて裾は超スリムなジーンズ。E○E○B○UE?だっけ、が大人気だった。それにルイヴィトンのセカンドバックを合わせて六本木と西麻布を闊歩するわけだ。地元が都内のおぼっちゃまですよみんな。まあ俺も田舎のおぼっちゃまだったけど、レベルが違い過ぎて。
大学生になったばかりでどう生きていいかも全くわからない、プライドだけがマックスの19歳に、こんな刺激は強過ぎて、年齢が一緒の同級生が完全にそれに影響されて付き合いで行ったその手のアイテムが目白押しのショップでどうしていいかわからずとにかく店員に買わされないようにだけ必死にブロックしていたのを覚えている。
コムデギャルソンがなかったら、俺はいったいどうなっていたのだろう。ありがとうギャルソン。ありがとう川久保先生。
ところが、時代は過ぎて俺も歳をとる。で、当時とは比較にならないくらいカッコよくなったと完全に自己満足の自分がいる。40歳が近くなりいつまでもギャルソンじゃないだろう、なんて気の迷い。LEONを愛読するようになり、イタリア系ファッションに移行した時期があった。
そのLEONにAVIREX B-3が登場したのさ。あれは衝撃的だった。でもさすがはLEON。ちゃんとブラックを選んでいた。インナーにイタリア系のホワイトシャツとスリムな綺麗めジーンズをセレクトして実にカッコよくコーディネイトしていた。
早速行ったよ新潟のAVIREXに。着たよ20年ぶりくらいにB-3。
うーむ。
保留。
やっぱ細身じゃないと軍隊のようになってしまう。
でもAVIREXはあれから20年も経って俺の愛用ブランド。B-3は買わなかったけど、俺にとっての永遠の定番がこれだ。
N-3B。
この形が究極だ。かっこいい。これは限定のハイスペックヴァージョンで、通常ラインとはかなり様相が違う。外生地のナイロンもグレードアップされており、中綿はウールを充満させて暖かさが桁違い。重さも桁違いだけどね。今あるヴィンテージラインのものと近いと思う。価格もね。
これを買う前に数年愛用していたのが30周年記念ヴァージョンのN-3B。妻も同じヴァージョンのレディスを持っていてペアだったのだけど、妻はその重さに耐えかねて手放してしまった。個人的には彼女の童顔にミニタリーのギャップがすごく良かったんだけどね。
B-3は着ていないけど、このN-3Bを着るとなんだか大学生の頃のことを思い出して、ちょっとセンチメンタルになるのさ。
で、この話のオチはこれ。数年前に購入したギャルソンオムの薄手N-3B。相当の人気だったと聞くがありがとうガールトーク。
ファスナーが不調になり本社経由で交換。ちょっと時間はかかったが春になったらまた愛用するね。
2021-01-16 20:48