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誰もなれない [ROCK]

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4月5日はカートコヴァーンの命日。来年は没後30年になる。究極の名作である<Nevermind>と<In Utero>が30周年記念盤を出しているのだからあたりまえなのだけど、結局この30年間でカートコヴァーンを超えるようなロックヴォーカリストは生まれなかった。彼よりも上手く歌えるヴォーカリストはいるかもしれないが、あの声に勝るものはなかったのだ。最初の一音を出した瞬間に持っていかれるあの声。ざらついて疲れ果てているのに力強い。誰もカートになれない。

ロックというのは説得力である。たった一音で聴いた人間の人生を変えてしまうようなおと。カートのこの声ならば、歪んでいないマーチンでもそこらのヘヴィロックなんざ裸足で逃げていく。これは一種の才能であり、ミューズに見初められた声なのだ。

何回もこのことは書いているけれど、50歳、60歳になったカートがざらついたこの声でマーチンを弾きながらレッドベリーを歌うのを聴きたかった。あるいはオリジナルのブルースを聴きたかった。たとえ20代のあの高音シャウトが出なくても、この声ならば加齢に伴うロックを歌えたはずだから。

それだけが残念だ。