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30年 [ROCK]

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ニルヴァーナ以前、以降という言葉があるが、 SMELLS LIKE TEEN SPIRIT が世の中にドロップされた前と後で、ロックという概念がそれまでとは完全に変わってしまったのは間違いない。端的な例はそれまで世の中を席巻していたいわゆるヘアーメタルが、あっという間に古臭くダサいものとして一掃されてしまったことだ。俺はそれ以前のハードロックは大好きだったが、ロングヘアーの化粧ケバケバ、歪んでるけど薄ーいサウンド、女性蔑視満載の歌詞とイメージ、のこの集団には全く魅かれなかった。俺はその前にきちんと正当派パンクを経由しているからね。知ってるか?オリジナルパンクの連中は結構フェミニストだったんだぜ。「そんなオリジナルパンクの正統な後継者がニルヴァーナだったのだ。
ニルヴァーナが体現したロックは、サウンド的にはそれまでのハードロックやヘアーメタルのそれから大きく踏み外すものではないかもしれない。特にNEVERMINDはいい意味でアンディウォレスのミックスが効いて、ラジオやテレビで流れやすい音になったんだろうから。でも、やはりバンドの信念とか思いはその音に宿る。フェミニストというか、感性が女性的というか、そういう思想が歌詞と音に溢れ出ている。体育会系マッチョイズム。そこから100万光年離れたところにニルヴァーナは存在する。古き良きハードロックの洗礼をモロに受けた1963年生まれの俺は、パンクとニューウエイヴを経由してここに到達した。幸いなことにヘアーメタルにハマらず。
まあ、俺はそもそも小学生の頃から勉強しかできない優等生で、体育は苦手で、5年生くらいから肥満児となりクラスの人気者ではなかった。小学6年生の修学旅行で枕投げをしている同級生のそばで教育テレビをこれ見よがしに観ていた最悪の優等生だったんだ。クラスで人気があったのは体育ができるスポーツマンか、ジャニーズのようなルックスを持つ美少年。いまでも覚えている、小学校の時毎月お楽しみ会ってのがあって、そこでクラスの男子の選ばれた数名が当時大人気だったフィンガーファイブをみんなの前で歌って踊ったのだ。選ばれるのはもちろんカッコよくてスタイルの良い女子人気の高い連中ばかり。俺なんて選ばれるわけもない。黙ってそいつらが踊っているのを観ていただけだ。その頃から俺にとって体育会系は仮想敵だった。
ロックに出会ってルックスの重要性は再認識してはいたが、自分に大甘の俺はダイエットもできず、それでも高校に入るまでは成績の良さでなんとかクラスの中心に入り込めてはいたけれど、それも高校で終わった。俺よりはるかに優れた脳みそを持ってる奴らがここにはたくさんいた。

この手の話は俺のブログに時々登場するからもう見飽きたよな。以下省略。

カートコベインが持っていた抑うつした感情の一部に俺は思い切り共感することができる。俺にとっての小学校、中学校にいた体育会系の奴らとジャニーズのような美しい美少年が仮想敵だったから。

時は流れて、若い頃よりは全てにおいてマシな俺がいる。(と勝手に信じている。)それは俺が努力したからだ。カッコよくなりたかった。ロックにはなれなくても、舐められないルックスが欲しかった。

カートはルックス的にはむしろ勝ち組にいたと思うが、それ以外の部分はすべて彼の音楽的才能でそれを勝ち取った。そして俺のような精神的に救われなかった負け組を救ってくれたのだ。

NEVERMINDから30周年。この永遠不滅のマスターピースが新たな音源を伴って再登場する。ニルヴァーナの最大の魅力であるライブの音源も豊富だ。いくら聴いても、いくら語っても、語り尽くした感じが全くしないのは、ニルヴァーナの持つ魅力や問題提起が現代にもずっと続いているからだろう。
特に現在の女性に対する意識の問題は、今こそカートの持っている女性性や彼独自のフェミニズムが重要な意味を持つのではと考えている。

もちろんそんなことをいちいち考えなくたって、一曲目、あのクリーンなギターカッティングが聴こえてきた瞬間に<持っていかれる>んだけどね。